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京都地方裁判所 昭和53年(ワ)821号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

2 逸失利益

原告は昭和一三年一月一二日生れの健康体で本件事故当時川本組の名称で弟らの外従業員を雇つて土木工事請負業を営んでいた。

ところで、原告の収入について検討するに、原告本人尋問の結果によると、昭和四八年から五〇年に亘り年額一億円またはそれ以上の所得があり昭和五〇年度の実収入はその二ないし三割に当る約二〇〇〇万ないし三〇〇〇万であつた旨供述し、また<証拠>によると昭和五一年一月から同年一一月までの間の所得が七七六五万五四六〇円と計算されるけれども、原告の元請会社である訴外京阪工事株式会社作成の下請支払明細表(<証拠>)、請求額内訳証明書(<証拠>)によるものはともかく、その余の資料に基づく右所得金額について直ちにこれを措信することはできない。また、利益率は経費を控除することにより算出されるものであるがその主張し立証する人件費(常雇最高月額二三〇万円、臨時雇平均月額一〇二万六〇〇円。<証拠>)、重機、自動車修理費及びガソリン代(平均月額一七万六五四〇円。<証拠>)、材料費その他の雑費(平均月額一五七万三六五一円。<証拠>)、借地料、ガレージ料(月額二二万円。<証拠>)、重機割賦金(小松製作所に対する月額一九万四〇〇〇円。)、事務所光熱費、電話料等(月額五万円)の合計額五五三万四七九一円もその算定の基礎が曖昧でありまたこれらが月間経費のすべてであるとも直ちに認定することはできない。却つて、<証拠>によると原告は、昭和五一年度の所得税の確定申告書において年収を五四〇万円と記載して申告し、昭和五二年九月八日付京都府知事に対する建設業許可申請書の直前三年の各営業年度における工事施工金額表中昭和四九年一月一日から同年一二月三一日までは二一〇〇万円、同五〇年一月一日から同年一二月三一日までは三五〇〇万円、同五一年一月一日から同年一二月三一日までは四二五〇万円との記載が、また同申請書添付の貸借対照表と損益計算書の各事業主利益欄には一八九万円とそれぞれ記載していること、京都建設業協会発行の昭和五二年度財務分析によると京都における昭和五一年度の荒利益率(出来高から原価を差し引いたもの)が11(土木)ないし11.9(建築)パーセント、経常利益率(税控除前の純利益)が2.3(土木)ないし3(建築)パーセントであり、同業種の第一重機株式会社においても事業規模では原告より大きいが昭和五〇年八月一日から同五一年七月三一日の計算期において経常利益はマイナスとなつており営業利益率はせいぜい五パーセントにすぎないこと、土木工事業は浮沈の激しい業種であつて経済全体の好・不況の影響を受けやすく安定した収益を望めないことが認められる。原告本人尋問(第一、二回)の結果によると、右確定申告書及び建設業許可申請書に各記載の数字は実体とは無関係である旨供述しているけれども幾分過少申告であつたとしても全く根拠のない数字であるとも考えられず、<証拠判断略>。また、<証拠>によると、川本組では常雇に対し一人七〇〇〇円ないし八〇〇〇円の割合で賃金を支給しており一か月約二〇日間就労していること、原告に対する賃金として昭和五一年六月分二一万二〇〇〇円、七月分二二万四〇〇〇円、八月分一九万六四〇〇円がそれぞれ計上されていることが認められ、これによると右三か月間の平均収入額は二一万八〇〇円(年額二五二万九六〇〇円)となり、他方賃金センサス昭和五二年第一巻第一表の産業計企業規模計男子労働者学歴計の年令階級別平均給与額によると月額二八万八〇〇〇円(年額三四五万六〇〇〇円)であることが認められる。

以上によると、原告の収入額は必ずしも明らかでないけれども少くとも前記確定申告額五四〇万円(月額四五万円)に見合う年収があつたものと認めるのが相当であつて、これを越えて収入があつたことを認めるに足りる証拠はない。

そしてこのように平均給与額を大幅に越えて高額の所得を得ているものについては公平の立場から所得税相当分を控除して算定の基礎とするのが相当であるところ、<証拠>によると原告の昭和五一年分の取得額五四〇万円、課税される所得金額三三二万円、これに対する税率は二一パーセントその控除額二一万円、従つて税額は四八万七二〇〇円であることが認められるから原告の算定基礎とすべき所得額は年額四九一万二八〇〇円(月額四〇万九四〇〇円)である。そして、原告の労働能力喪失率一〇〇パーセント、事故日である昭和五一年一〇月六日から口頭弁論終結時である昭和五五年九月一六日まで一四四二日、今後の就労可能年数二五年、これに対するライプニッツ係数14.0939であるから、

(一) 右同日までの休業によつて失つた損害は一九四〇万八九二四円であり、

(二) 将来の得べかりし利益は六九二四万〇五一一円となる。

491万2800×140939=6924万0511

(吉田秀文)

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